加藤秀俊 著作データベース

漢字のつかいかた

発行年月: 20031000
掲載  : しにか
発行元 : 大修館


漢字のつかいかた   (2003.04 しにか)

 自著「自己表現」(中公新書)にかいたように、わたしは漢字はできるだけつかわないことにしてきました。具体、実践的には訓読みのときは「かな」、音読みのときは「漢字」という原則です。さらにわたしは「はなしことば」と「文字ことば」とを一致させることにもつとめてきました。このかんがえは、外国人のための日本語教育の現場でじっさいにしごとをするようになってから、さらにつよくなってきているようです。
 ふりかえってみると、漢字についてのいこのような意見は福沢諭吉の『文字之教』までさかのぼることのできる近代日本語論につながるものかもしれませんが、どうも「漢語癖」というのは、かなりあたらしいのではないか、とおもっています。おどろいたことに、日本語の「表記法」は、さだまっていません。「ことば」と表現のかかわりといういちばんだいじな問題について、わたしたちはまだまだかんがえなければならない、とおもっています。


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文書管理番号: 3070