加藤秀俊 著作データベース
ごあいさつ
発行年月: 200203
掲載 : ポストパートナーズ
発行元 : 電波産業会
ごあいさつ 加藤秀俊
パートナーズ計画を継承したポスト・パートナーズ計画は、これまで通算６年間にわたって、アジア諸国と日本とをむすぶ重要な役割をはたしてきました。その初期の段階にくらべてみると、技術水準は飛躍的に向上し、またその技術や機材をつかう人間も衛星通信にかなり慣れてきました。ちょうど電話をかけるのとおなじような気軽さで研究者や学生たちが端末のまえで自由に話しあう習慣もできてきたようです。この貴重な実験の期間をつうじて、たくさんの収穫があったことをわたしたちは認識し、また誇りにしてよいとおもいます。
この６年は、世界の歴史が２０世紀から２１世紀に突入した変化のおおい時代でした。衛星通信だけではなく、地上回線も整備がととのってきましたし、かっては専門家だけがつかっていたインターネットもいまでは日常的な手段になりました。また、それをささえる経済もめざましい進歩をとげてきました。とりわけ、東南アジア諸国の生産力や技術開発がすすみ、この地域が世界経済のなかで占める位置は無視できないようになってきました。
さらに日本と東南アジア諸国とのあいだを往復する旅行者の数も過去数年間で２倍にふえました。日本の若者たちのあいだでのアジアへの関心もくらべものにならないほど高まってきています。ポスト・パートナーズもそうした相互の文化交流の一環をになってきたといっていいでしょう。
そんななかで、この野心的な実験は当初の予想を上回る成果をあげて終了することになりました。さきほどのべたように衛星通信技術はここ数年でおどろくべき進歩をとげました。ポスト・パートナーズ計画で達成した実績を土台にして、これからさらなる国際協力が推進されるように心から祈っております。この計画をここまで結実させてくださった関係各位に厚く御礼申しあげます。
加藤秀俊著作データベース
文書管理番号: 2274