加藤秀俊 著作データベース
ごあいさつ−創刊によせて−
発行年月: 19991215
掲載 : POST PARTNERS NEWS
発行元 : 郵政省
ごあいさつ 加 藤 秀 俊
日本の将来にとって、アジア近隣諸国、とりわけアセアン加盟諸国との協力関係がきわめて重要であることは、あらためていうまでもありません。そして、この地域での相互理解を深めるための基本は、おたがいの情報流をつよめてゆくことです。
郵政省、およびその関連団体がこれまで協力に推進してこられたパートナーズ計画、そしてそれにつづくポスト・パートナーズ計画は、その意味で画期的な事業でした。これまでの実験をふりかえってみても、国際共同研究、遠隔教育、遠隔医療など、さまざまな領域でこれら諸国としばしば交信がおこなわれてきました。日本の対外開発援助という以上に、この事業は国際協力と国際理解に大きな貢献をしてきたのです。
とりわけ、初期の段階では技術的な「実験」がそのおもな事業だったのに、現在のポスト・パートナーズはほぼ「実用」の段階に近づいてきました。地上局もあらたにフィリピンが加わってさらに充実してきましたし、コンテンツも実用的に整備されてきました。将来にむけて、さらに多くの地点とより頻繁な相互交信がおこなわれてゆくことになるでしょう。
より大きな視野からみるならば、この事業は「アジア情報ハイウェイ」の構築のための第一歩です。これが基盤となることで、アジア太平洋地域ぜんたいの衛星通信網はしっかりとつくられてゆくにちがいありません。そして、ちょうど、われわれが気軽に公衆電話を使っているのとおなじように、やがてはこの回線網を通じて、参加諸国の多くのひとびとが日常的に画像や音声のやりとりをする日もやってくるにちがいありません。
ポスト・パートナーズは、この地域をむすぶ友好の事業であるだけでなく、夢と希望を運ぶ大きな理想の結晶でもあるのです。
加藤秀俊著作データベース
文書管理番号: 2154